月: 2022年10月
咳の力を鍛えよう!
2022年10月21日
当院には誤嚥性肺炎の診断をうけて入院される方が多くいらっしゃいます。飲み込みの力を評価するのが私たち言語聴覚士の仕事ですが、実際に評価してみると飲み込み機能の低下だけでなく、咳をする力が弱くなっている方が多い印象を受けます。人間には本来、身体を防御する機能が備わっているため、食物や異物が気道に入ってくるとムセや咳で身体の外に出そうとします。でも、その力が弱かったら?最悪の場合、肺炎になってしまいます。今年の2月には俳優の宝田明さんも誤嚥性肺炎で亡くなっています。直接肺炎にならなくても、別の病気で入院中に寝ていることが多くなって筋力が低下して誤嚥性肺炎になるということもあります。いま健康なうちに、手足の筋力だけでなく、呼吸に関する筋力も鍛えて予備力を高めておきましょう。
<家庭でできる咳トレーニング>
①息を吸う力を鍛えるトレーニング:紙片をストローで吸い付け、コップに入れる。
難易度を上げる場合
〇 吸うものを変える:ティッシュペーパー→折り紙→厚紙→ペットボトルキャップ
〇 枚数を増やす。
〇 吸い上げてから10数えてからコップに入れる。 など
②息を長く吐く練習:ペットボトルに水を入れ、ストローでブクブク吹く。
難易度を上げる場合
〇 水の量を増やす:水圧を利用して負荷をかけるので、ストローの深さが大切です。
水量を増やしても、ストローの水深が浅いと意味がありません。
〇 吹く時間を決める:成人の正常値である20秒を目標に少しずつ伸ばしましょう。
③瞬間的に強い息を吐く練習 その1:喉に力を入れずに「ハッ」と息を吐く。
寒いときに手を温めるときのイメージ
④瞬間的に強い息を吐く練習 その2:
「ストロー吹き矢」曲がるストローの長い方(本来は飲み物に入れる方)を口にくわえ
曲がるストローの短い方(本来は口にくわえる方)に綿棒を入れ勢いよく吹き、綿棒を飛ばします。
※ストローの曲がる部分を少し曲げておくと誤って吸い込んだ時に安全です。
文:松島環(言語聴覚士 主任) 絵:池畑琉宇(作業療法士)
休憩時間もちょっとした日常生活訓練を
2022年10月20日
最近通所リハビリに通う利用者さまから、以前に比べ手の力が入りにくくなった、手の動きが悪くなったという話が聞かれることがあります。自宅で生活していて、ペットボトル等の蓋を開ける、細かいものを摘まむ事はよくあることです。そこで、リハビリの休憩中や運動後の残りの時間に、洗剤のキャップやタッパー、瓶、お弁当容器の蓋の開け閉め、子供服を畳んでもらうなど機能的な訓練とは別に、普段の日常生活で行う運動を提供してみたところ、利用者様から非常に良い反応が得られました。
今後も自宅での生活に活かせるような取り組みを考案していきます。
通所リハビリテーション 主任 笹谷 昌子
筋肉・筋力の大切さ
2022年10月20日
少しずつ気温も下がり秋から冬にかけて季節の移ろいを感じるようになってきました。皆さま衣替え、雪に備えた防寒対策は始めておりますか?北海道は雪国です。雪国の特徴としまして冬はどうしても1日を通しての活動量が積雪前と比較して少なくなってしまいます。実際に、積雪地域では夏季と比べて活動量が低下するのですが、摂取カロリー量は変わらないため、冬季間に体重が増えてしまうという報告もあります。活動量が低下するともちろん筋力も低下します。今回は、理学療法士らしく筋力の大切さについて簡単にお話したいと思います。
「筋肉」は生きていくために必要不可欠なものです。私たちが立つ・歩く・走るのも筋肉を使って行うことができ、さらには呼吸や嚥下(飲み込み)、心臓を動かすことも全て筋肉が働いているからこそ生命を維持できています。その筋肉を働かせる力を「筋力」と言います。筋力は20~30歳をピークに増加しますが、30歳を過ぎると徐々に減少し始め、80歳の時点ではピーク時(現役バリバリの時期)の7割以下まで低下してしまいます。1日寝た切りだと全身の1~3%、1週間寝たきりだと全身の10~15%の筋力低下が起こり、3~5週間(約1ヶ月)寝たきりだと全身の50%の筋力低下が起こると報告されております。
筋力が落ちると「動くと疲れる」「動悸がする」「呼吸が苦しい」「転びやすくなる」といった状態に陥りやすく、この状態がさらに体を動かさなくなる要因となります。
私たち理学療法士は筋肉に関するスペシャリストだと自負しております!雪国の函館でいつまでも楽しく元気に生活していける体づくりのためにこれからも様々なトレーニングを発信してまいります。
Let‘s do muscle training!
わかりやすい体幹安定性・固定性の違い‼
筋トレ方法は広報誌なごみから閲覧可能です。
在宅リハビリテーション課長 佐藤 嶺(理学療法士)