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ストレスの科学

こんにちは。1年前のブログで禁酒を宣言した村上という者です。秋の健康診断の結果をお伝えするはずが、報告できず申し訳ございません。中性脂肪の値は見事正常範囲内に下がりました!!やはり薬の力は偉大です!!さて、新年度を迎え3か月がたちましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。日々充実した生活を過ごしている方もいれば、中には新しい環境になじめずストレスを抱えている方もいると思います。そこで今回はストレスの発生メカニズムと対処法について少しお話したいと思います。

ストレス理論として有名なものに、Lazarus(ラザルズ)が提唱したライフ・ストレス理論があります(下図参照)。今回はこの理論をもとに話を進めたいと思います。まず、ストレスを感じるにはその元となる「潜在的ストレッサー」が存在します。潜在的ストレッサーとは、就職・退職や結婚・離婚、クリスマスなどの「人生の出来事」や、「日常の苛立ち」などが挙げられます。クリスマスがストレスと言うと意外に思われる方もいらっしゃると思いますが、これは「潜在的ストレッサー」をストレスになり得る潜在的な事象と捉えているためで、ストレスになる場合もあればストレスにならない場合もあるとご理解ください。人生の出来事については、Holms and Rahe(ホームズとレイ)が項目化していますので、興味のある方はお調べください。もしかしたらテレビ番組等で見たことがあるかもしれません。次に、潜在的ストレッサーをストレスであると認識する過程が存在します。これを「認知的評定」と言います。この過程は潜在的ストレッサーを「無関係」、「肯定」、「ストレスフル」の3種類に評価する過程です。認知的評定で潜在的ストレッサーをストレスフルであると評価した場合には、ストレスに対する対処(コーピング)が始まります。

さて、今までストレスの発生機序について、「潜在的ストレッサー」「認知的評定」「ストレスフル」と3つキーワードを挙げました。基本的にストレスに対する対応はこの3つに対して行うことになり、どの時期に対応するかで「問題焦点型コーピング」「情動焦点型コーピング」「ストレス解消型コーピング」に分けられています。ここからは具体的な例を挙げて説明したいと思います。今回は「禁酒」を潜在的ストレッサーとし、それがストレスフルであると認識された状態を想定したいと思います。問題焦点型コーピングは潜在的ストレッサーそのものを解決する対処方法で、今回の場合は禁酒をやめてしまうという対処になります。潜在的ストレッサー自体を消すという最も根本的な解決方法なので効果的ではありますが、会社での人間関係や金銭的な問題など、自分の意志で解決できない問題には対処できないこともあるかと思います。自分の意志で解決できない問題の場合は、しかるべき方に相談し、一緒に潜在的ストレッサーに対する対応を検討することが望ましいでしょう。次に情動焦点型コーピングは認知的評定に対する対処方法です。つまり、禁酒をストレスとして捉えるのではなく、「自分の健康のためになる」と肯定的に捉える対処方法です。この対処方法で重要なのは、無理やり自分に言い聞かせて肯定するのではなく、心から肯定するということです。一度ストレスと感じてしまった事象に対して改めて肯定するのは非常に難しいかもしれませんが、実はストレスに強いと言われる人はこの対処法を取ることが多いと言われています。最後にストレス解消型コーピングでは、ストレスと感じる事象そのものの解決を図るのではなく、趣味活動などで気分転換を図る対処方法で、多くの方が実践している方法だと思います。例えば旅行や買い物などでストレスを発散するというイメージです。

人それぞれで選択するコーピング方法は違うと言われていますが、対応方法が3種類あると分かると、自分が試していないコーピングを意識的に試してみることで、ストレスを解消出来る可能性が広がるのではないでしょうか。

(文:作業療法係長 村上)

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