私が従事している訪問リハビリテーションというのは介護保険でのサービスですので、主に二次的な障害予防、状態維持や状態悪化を緩和するために関わります。
うまくいって卒業された方、卒業まで至らずお世話になっている方や、中には病状の変化でお亡くなりになってしまう方もいらっしゃいます。
皆さん、「リハビリ=身体機能訓練、やれば良くなる」というイメージが強いかと思いますので、もしかしたら意外に思う方もいるかもしれません。かくいう私も、機能訓練というイメージが強い人間でした。
私が訪問してから数年が経ち、徐々に歩けなくなり、トイレやお風呂もままならず、奥様の介助でベッド上生活を送ることになってしまった一雄さん(仮名)のお話しをしたいと思います。
次第に身体状況も落ちてきて、リハビリ以外では座る事が無くなってしまいました。そんなことがあると、奥様と一雄さんが口論を始めます。
奥:「なんでリハビリの時はやれるのに普段はやらないの!?」
一:「俺は俺なりに頑張っているんだ!」
奥:「俺なりに頑張れるんなら普段から頑張んなさい!!」
一:「・・・(そっぽを向いて無視)」
私が話をなだめて終了・・・という事が続いていましたが、そんな一雄さんの状態が徐々に悪化。とうとう余命宣告を受けてしまいます。
私も「リハビリとしてこれ以上、関わる事はないのかな?」と思いましたが、一雄さんと奥様は「継続して来て欲しい。」とのことでした。
『はて?リハビリとは??』
座ることも出来なくなり、ベッド上で色々な話を聞いたり、手足のストレッチをしたり・・・そんな日が続いていましが、とうとう一雄さんは状態が改善することなく、旅立って行ってしまいました。
「私は何かできたんだろうか?」
モヤモヤした思いを持ったまま、ご焼香させてもらいに行きました。
すると、奥様から意外な一言が。
「最後まで来てくれてよかった。言い方は悪いかもしれないけれど、話を聞いてくれるだけでも良かったんです。本当に助かりました。ありがとう。」と涙ながらに話してくれました。
「関わらせてもらえて良かった!」という嬉しさと同時に、こう強く感じさせてもらったことを私は忘れません。
『はて?リハビリとは??』
このインスピレーションを忘れず、大事にして行きたいと思います。
一雄さんが見たであろう風景
訪問リハビリテーション西堀 本通サテライト主任 山上雄大(作業療法士)